一瀉千里いっしゃせんり)” の例文
改革は一瀉千里いっしゃせんりの勢を以て進めり。すべての障碍を打破りて進めり。抵抗者は罰せられ、異論者はしりぞけられ、不熱心者は遠ざけらる。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
不破から西は、一瀉千里いっしゃせんりの行軍だった。この日すでに、足利軍五千は、湖畔の野洲やすの大原をえんえんと急いでいた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今川義元や斎藤道三どうさん、或いは浅井朝倉あたりとは相手が違う、謙信があの勢いでもって、北国から雪崩なだれの如く一瀉千里いっしゃせんりで下って来て見給え、木下藤吉郎なんぞも
それが貴方の過去の御記憶を喚び起す最初のヒントになりますので、それから先は恐らく一瀉千里いっしゃせんりに、貴方の過去の御記憶の全部を思い出される事に相成りましょう
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
となんのくふうもなく、よく意味もわからないで一瀉千里いっしゃせんりに書き流して来たが、「死」という字に来ると、葉子はペンも折れよといらいらしくその上を塗り消した。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
校長はもう云い出したので、一瀉千里いっしゃせんりにまくしかけた。
フランドン農学校の豚 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
一時は決裂のほかあるまいかのような危局をはらんだ清洲会議も、二つの重大懸案が、ともかく議決されたので、あとの小問題は、一瀉千里いっしゃせんりに片づいた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは革命の激流一瀉千里いっしゃせんり、彼らかえってその後に瞠若どうじゃくし、空しく前世界の遺物たることあり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
しかし女将おかみは一切お構いなしで、持って生まれた一瀉千里いっしゃせんりのペラペラを続けた。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ただ秀吉の猛撃が余りにも一瀉千里いっしゃせんりの急潮をもって押して来たため、予備軍としていた安土、坂本の新手を加えて反撃に出るいとまもない結果となってしまったのである。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沓掛くつかけ、丸根といえば、もう織田家の領土だった。その一線に散在している数ヵ所の要砦ようさいが突破されたら、尾州平野は一瀉千里いっしゃせんりに清洲の城下まで、ほとんど何の支えもないといっていい。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)