一弁ひとひら)” の例文
これはよく椿の花の性質を現わしたもので、あの大きい花が、一弁ひとひらずつ散るというようなことなしに、ボタリと落ちる、其処そこに他の花にない趣があるのである。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
「第二を祈念の時期と云う。男、女の前に伏してねんごろに我が恋かなえたまえと願う」クララは顔をそむけてくれないの薔薇の花を唇につけて吹く。一弁ひとひらは飛んで波なき池のみぎわに浮ぶ。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
墓石にほほ散花ちりばな日を経ればへり朽ちにけり一弁ひとひら一弁ひとひら
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)