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ひようじ
讀上るに越前守殿
憑司を見られ此願書の趣きにては
嘸々無念に思ふなるべし不便の
次第なり妻早其方の一人の娘を
殺害せしや
憑司夫婦の者より願ひ書のおもむき
只今讀聞せる間
承まはれとありければ
目安方與力其願書を
讀上るに越前守殿又傳吉に向はれ憑司が願ひ書の
趣き
覺えあるやと云るれば傳吉は
漸々に
面を
傳吉は聞及び幸ひ上臺の
家斷絶を
嘆く折柄故其男子に傳吉より
憑司が田地の外に
若干の地を
遣し上臺の家を
相續成しめける眞に傳吉が行ひは
孝道と信義との徳にて無實の罪に
落入たるも死を
迯れ一生を