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てづかみ
夜中に月が
明い時、寺の門を叩いたこともあったそうだし、人の
庖厨へ忍び込んで、
鍋の
大いのと
飯櫃を大屋根へ持って、あがって、
手掴で食べたこともあったそうだし
生豆腐の
手掴に比べては、
勿体ない御料理と思った。それにくれるのが
優しげなお婆さん。
手掴で
食べたこともあつたさうだし、ひら/\と
青いなかから
紅い
切のこぼれて
居る、うつくしい
鳥の
袂を
引張つて、
遙かに
見える
山を
指して
気絶さしたこともあつたさうなり