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さしぞえ
小宮山は
切歯をなして、我
赤樫を割って八角に削りなし、鉄の輪十六を
嵌めたる棒を携え、
彦四郎定宗の刀を帯びず、三池の伝太
光世が
差添を
前半に
手挟まずといえども、男子だ、しかも江戸ッ児だ
過ぐる年
三十日の
夜、お茶の水にて小野庄左衞門を切殺し、定宗の
小刀を奪い取りし覚えがあろう、論より証拠、その
差添は
正しく庄左衞門の差添、
然らずと云うならば出して見せえ
元来圖書は山三郎を
嚇す気だから、栗毛の馬に鞍を置き、
脊割羽織に
紺緞子に
天鵞絨の
深縁を取った
野袴に、旧金森の殿様から拝領の
備前盛景に
国俊の短刀を
指添にしてとっ/\と駈けて来る。