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ごくらくちょう
町には、貝がらだの、
珊瑚だの、
極楽鳥の
標本だの、大きな
剥製のトカゲだの、きれいにみがいてあるべっこうガメの
甲羅などを売っていて、みんなほしくなった。
足はみな裸足だが獣骨の
足環をはめ、半身の赤銅のような皮膚を
剥き出しているが、腕くびに魚眼や貝殻の
腕環をなし、紅毛
碧眼の頭には、
白孔雀や
極楽鳥の羽根を飾って、怪美なこと
が、世間の思っているように岩山ばかりだった
訣ではない。実は
椰子の
聳えたり、
極楽鳥の
囀ったりする、美しい
天然の
楽土だった。こういう楽土に
生を
享けた鬼は勿論平和を愛していた。
あらゆる罪悪の行われた
後、とうとう鬼の
酋長は、命をとりとめた数人の鬼と、桃太郎の前に
降参した。桃太郎の得意は思うべしである。鬼が島はもう
昨日のように、
極楽鳥の
囀る楽土ではない。