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けんにんじ
隔ては
中垣の
建仁寺にゆづりて
汲かはす
庭井の
水の
交はりの
底きよく
深く
軒端に
咲く
梅一木に
両家の
春を
と思ふと、忽ち又町になる。殊に今云つた
建仁寺の竹藪の如きは、その
後も
祗園を通りぬける度に、必ず
棒喝の如く自分の眼前へとび出して来たものである。……
帰りに例の
茶園を通り抜けようと思って
霜柱の
融けかかったのを踏みつけながら
建仁寺の
崩れから顔を出すとまた車屋の黒が枯菊の上に
背を山にして
欠伸をしている。