“ききつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
聞付66.7%
聞附33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「トム、トム……。」と、二三度呼んだが、犬は食物くいものに気をられて、主人の声を聞付ききつけぬらしい。市郎は舌打したうちしながら引返ひっかえして来た。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
取次の下女としきりに問答して居る様子、狭い家だからスグ私が聞付ききつけて、玄関に出てその客を座敷に通したことがあるが、成るほど殿様といって下女に分る訳けはない
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
この騒ぎを聞付ききつけて、町の家々でも雨戸を明けた。「賊だ、賊だ。」と叫ぶ声がそれからそれへと伝えられた。重太郎は哀れや逃場にげばを失った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
の水音に消されて、今までは誰も聞付ききつけなかったが、何処どこやらでかすか唸声うなりごえが聞えるようである。巡査はたちまちに耳をそばだてた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お葉は独語ひとりごとを云いながら裏庭の雨戸を明けた。柳屋の客も女も、この騒ぎを聞附ききつけて、いずれも表へ見物に出たが、お葉は「何の、つまらない。」と云う風で、先刻さっきから一人残っていたのである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)