“いっぽうぐち”の漢字の書き方と例文
語句割合
一方口100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
まろく拡がり、大洋わたつみうしおを取って、穂先に滝津瀬たきつせ水筋みすじの高くなり川面かわづらからそそむのが、一揉ひともみ揉んで、どうと落ちる……一方口いっぽうぐちのはけみちなれば、橋の下は颯々さっさっと瀬になって
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「全体、狐ッて奴は、穴一つじゃねえ。きつと何処にか抜穴ねけあなを付けとくって云うぜ。一方口いっぽうぐちばかしかためたって、知らねえうちに、裏口からおさらばをきめられちゃ、いい面の皮だ。」
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
御米が呼びに立とうとするのを、用はないからいいと留めたまま、宗助は炬燵蒲団ぶとんの中へもぐり込んで、すぐ横になった。一方口いっぽうぐちに崖を控えている座敷には、もう暮方の色がきざしていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)