-
トップ
>
-
あやしく
殺し金百兩奪ひ取りしとて
御所刑に成しとの噂を聞權三助十の兩人は
怪敷思ひ橋本町八右衞門
店にも
駕籠屋仲間有る故彦兵衞が樣子を
洗ひ居る者あるに付
能々見るに同長屋の勘太郎と申者なれば
怪敷思ひながら
空知ぬ
振に罷在し所右の勘太郎
急に二三十兩掛て
造作を致し道具を
願度依て推參致せりとの言葉の
端々未十五歳の
若年者には
怪敷思へども又名奉行大岡樣の御吟味に
間違のあるべき樣なし
由無事を訴へ
其許迄御咎を
猥に勅命抔と
申触し在々農民を党類に引入候類も
有之哉に相聞き、今般御上洛
被仰出折柄難捨置、依之
已来御料私領村々申合せ置き、帯刀いたし居候とも、浪人
体にて
恠敷見受候分は
無用捨召捕り