)” の例文
老妓はすべてを大して気にかけず、悠々と土手でカナリヤののはこべを摘んだり菖蒲園しょうぶえんできぬかつぎをさかなにビールを飲んだりした。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そらきた、と先生急に糸をたぐり始めるから、何かかかったと思ったら何にもかからない、がなくなってたばかりだ。いい気味きびだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
◯なお一例として三十八章末尾の鴉の記事を見るに「また鴉の子神に向いてよばわり食物なくして徘徊ゆきめぐる時鴉にを与うる者は誰ぞや」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
めにいったのは、鳥屋とりやでありました。そこへいっても、彼女かのじょはよくはたらきました。とりをやったり、いろいろとり世話せわをしました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あれに、血に飢えている五十の部下がこちらを見て、を欲しがっているのが、眼に見えないか。返辞をしろ」と、威猛高いたけだかにいった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところがここに、一椿事ちんじがしゅったいした。ある日サービスは、例のだちょうにをやっていると、モコウがそばへよっていった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
かへるにくべにはちをくはへてはうんできますが、そのちひさなかへるにくについたかみきれ行衛ゆくゑ見定みさだめるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
今度は上の方の睾を抜くのは容易だから二つ抜出してしまったら外皮を縫って放しておくと三十分もすぐればを拾って食べている。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
……あの胸毛の白いのが、見ていると、そのうちに立派に自分でが拾えるようになる。澄ましたつらで、コツンなどと高慢に食べている。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おまけに高田屋は金も遣うし、ここに「新地」ができるとすれば、五人組とか町名主などという連中も、にとびつくおおかみのようなものだ。
ようやく持て余し気味で、芝愛宕下一円の若い男が、追われたはえに戻るように、懲り性もなくお常の茶屋に集まっておりました。
職をあさりに出た夫もまだ帰って来ないとき、そして恵子が母親を待ち兼ねたとき、母親もまたを運んで来る子供達が待ちきれなくなって
接吻を盗む女の話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
そのくせ別におしげがをやるわけではなく、餌はわたし自身や長谷川がやるのです。それだのにロオラは一向、男には馴染まないのです。
オカアサン (新字新仮名) / 佐藤春夫(著)
私に獅子ししの役をやらしてください。ひなをやる女鳩めばとのように、私はやさしくえてみせます。うぐいすかと思われるように、私は吼えてみせます。
こういう児であったればこそと先刻さっきの事を反顧はんこせざるを得なくもなり、また今のこを川に投げる方が宜いといったこの児の語も思合おもいあわされて
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そしてその急須を両手で包みこむようにしてしばらくじっとしていたのち、鳥の入れみたいに小さな茶碗の上に傾け
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
うまくランデブーすれば、雄蝉おすぜみ莞爾かんじとして死出しで旅路たびじへと急ぎ、あわれにも木から落ちて死骸しがいを地にさらし、ありとなる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
そしてをねらう猛獣のような姿勢をして抜き足で出て来て、いよいよ飛びかかる前には腰を左右に振り立てるのである。
ねずみと猫 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
欧羅巴ヨーロッパの野菜料理てのはうぐいすのスリのようなものばかりだから、「ヴェジテラニヤン・クラブ」へ出入するやつは皆青瓢箪あおびょうたんのようなつらをしている。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
め、中にはを入れておく。鶏は嘴が長いから柵をとおしてついばむことが出来る。犬は柵に鼻がつかえて食うことが出来ない。故に犬じらしという
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「強情はったら、帰れると思ってるから、おかしいのですよ、ほんとうにばかですよ、また私達にいびられて、にでもなりたいのでしょうよ」
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
さうネ、いつか来てもいいけど、何にもつれやしまひと思ひ升よ、それにつりをするには針だのだのなければなりませんもの、一寸ちよいとは来られないの。
鼻で鱒を釣つた話(実事) (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
彼は、河底の砂の上にびんが一本転がっているのを見つける。中には水がいっぱい入っているだけだ。私はわざとを入れておかなかったのである。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
やがて最初のの肉のところへくると、大きな足跡が、そこへ立ちどまった形に残っていて、肉塊にくかいはなくなっている。
されば、更るがわる鈎を挙げて、を更め、無心にして唯あたりを待ちけるに、一時間許りける時、果して鈴に響く。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
もちろん磯五は、恋というものをに、おせい様のまごころをあやつって、金を吐き出させようとしているだけのことなのだ。中年女の激しい恋だ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
人間感情の不具、ディフォーメーションをさにしているような文学に対して、私の文学ぎらいはつのります。
これは神社の前で小鳥のを売ってる婆さんの話です。婆さんはその話をすると、いつもおしまいには小さな声で「お月様の唄」を歌ってきかせてくれます。
お月様の唄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そしてガラス鉢の中でなんてのどかにくらしながら、たくさんのをもらっているのだろう、でも、もしも自由になれたら、そしたらどんなに幸福だろう、と
清八は爾来じらいやむを得ず、おの息子むすこ清太郎せいたろう天額てんがくにたたき小ごめ餌などを載せ置き、朝夕あさゆう富士司を合せければ、鷹も次第に人の天額へ舞いさがる事を覚えこみぬ。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その金網籠の一つ一つに、それぞれ所有主もちぬしの木札が附いている奴へ、番人が、それぞれにを遣っている。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
太陽は煌々こうこうと輝いていた。神はすべてに食事を供していた。あらゆるものは各自のまぐさを持っていた。
端艇たんていくつがへすおそれがあるのでいましも右舷うげん間近まぢかおよいでた三四しやく沙魚ふか、『此奴こいつを。』と投込なげこなみしづむかしづまぬに、わたくしは『やツ。しまつた。』と絶叫ぜつけうしたよ。
りく菩提樹ぼだいじゅの蔭に「死の宗教」の花が咲いた印度のうみは、を求めてくことを知らぬ死の海である。烈しいあつさのせいもあろうが、印度洋は人の気を変にする。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
当時住んでいた長屋の窓下に蚯蚓みみずにして仕掛けをして鴉の寄るのを窺ったりしたことがある。
夕張の宿 (新字新仮名) / 小山清(著)
また動物はにしません。象のようなものです。草と小さな魚を食事にしているのです。けれどその力は強く、いちど怒ったら巨船きょせんでもうち沈めるだけの事をやります。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
雇われた二人の漁夫は二人の漁夫で、二尋ふたひろ置きに本縄ほんなわから下がった針にをつけるのにせわしい。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
くことを知らない polypeポリイプ の腕に、自分は無意味のになっていだかれていたような心持がして、堪えられない程不愉快になって来るのである。そしてこう云った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
玄関番コンシェルジュとの口論の調停、物もらいとの応待、蓄音器のゼンマイ巻き、小鳥に対するの配給、通信事務の遂行、と、丁稚でっち輩下のごとく追い使われ、相勤めまする一日十余時間
「や、南無三、を取られた。……それはうとオイ直助、今日は鰻は取れたのか?」
隠亡堀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
築山のあたりには、鶏が六七羽、さっきからしきりに土をかいてはをあさっている。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そういう武装は、原始林にいどみ、野獣に備え、ものをあさる用具であった。踏みあばいて行く川のほとり濶葉樹かつようじゅつづきの森林に、彼らはふと、黒々と見える常緑の水松おんこを発見した。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
お清は笑いながら奥へ入ってしまった。人通りのすくない往来には、小禽ことりあさっていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
台所前の井戸端いどばたに、ささやかな養雞所ようけいじょが出来て毎日学校から帰るとにわとりをやる事をば、非常に面白く思って居た処から、其の上にもと、無理な駄々だだこねる必要もなかったのである。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
宛然えんぜん市楽所しらくしょ」の空気だ。横へ出たところに植込みをめぐらしたあき地があって、雪のように真っ白に鳩が下りている。母や姉らしい人につれられた子供達がをやっているのだった。
踊る地平線:05 白夜幻想曲 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
つくした楽器のようで鳥の声とは思われなかったそれに声の寸が長く張りもあればつやもあったされば天鼓の取り扱いははなは鄭重ていちょうで食物のごときも注意に注意を加えさせた普通鶯の
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
長女 どうするの? よし坊ちゃんがねてる間に、もうをやっといたわよ。
病む子の祭 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
小鳥の好きな兵衛ひょうえは明日の朝のるのに片肌ぬいで干鰕えびをしごいていた。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
わしのとならねばならぬ因縁いんねんをもっているか、をつくづくと考えてみることは、いかにも仙哲せんてつにふさわしき振舞いじゃが、鯉を捕える前に、そんなことをくどくどと考えておった日には
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
はじめ、の代りに、靴底の革を切って釣針につけて、海に投げてやると、またたくまに、一尾の大きな魚が釣れた。その魚の肉を餌にして、さらにカメアジや、さめや、阿呆鳥あほうどりを釣り上げた。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)