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餌
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え
ふりがな文庫
“
餌
(
え
)” の例文
老妓はすべてを大して気にかけず、悠々と土手でカナリヤの
餌
(
え
)
のはこべを摘んだり
菖蒲園
(
しょうぶえん
)
できぬかつぎを
肴
(
さかな
)
にビールを飲んだりした。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そらきた、と先生急に糸をたぐり始めるから、何かかかったと思ったら何にもかからない、
餌
(
え
)
がなくなってたばかりだ。いい
気味
(
きび
)
だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
◯なお一例として三十八章末尾の鴉の記事を見るに「また鴉の子神に向いて
呼
(
よば
)
わり食物なくして
徘徊
(
ゆきめぐ
)
る時鴉に
餌
(
え
)
を与うる者は誰ぞや」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
三
度
(
ど
)
めにいったのは、
鳥屋
(
とりや
)
でありました。そこへいっても、
彼女
(
かのじょ
)
はよく
働
(
はたら
)
きました。
鳥
(
とり
)
に
餌
(
え
)
をやったり、いろいろ
鳥
(
とり
)
の
世話
(
せわ
)
をしました。
ちょうと三つの石
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「あれに、血に飢えている五十の部下がこちらを見て、
餌
(
え
)
を欲しがっているのが、眼に見えないか。返辞をしろ」と、
威猛高
(
いたけだか
)
にいった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
ところがここに、一
椿事
(
ちんじ
)
がしゅったいした。ある日サービスは、例のだちょうに
餌
(
え
)
をやっていると、モコウがそばへよっていった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
蛙
(
かへる
)
の
肉
(
にく
)
を
食
(
た
)
べに
來
(
き
)
た
蜂
(
はち
)
は
餌
(
え
)
をくはへて
巣
(
す
)
の
方
(
はう
)
へ
飛
(
と
)
んで
行
(
い
)
きますが、その
小
(
ちひ
)
さな
蛙
(
かへる
)
の
肉
(
にく
)
についた
紙
(
かみ
)
の
片
(
きれ
)
で
巣
(
す
)
の
行衛
(
ゆくゑ
)
を
見定
(
みさだ
)
めるのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
今度は上の方の睾を抜くのは容易だから二つ抜出してしまったら外皮を縫って放しておくと三十分も
過
(
すぐ
)
れば
餌
(
え
)
を拾って食べている。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
……あの胸毛の白いのが、見ていると、そのうちに立派に自分で
餌
(
え
)
が拾えるようになる。澄ました
面
(
つら
)
で、コツンなどと高慢に食べている。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おまけに高田屋は金も遣うし、ここに「新地」ができるとすれば、五人組とか町名主などという連中も、
餌
(
え
)
にとびつく
狼
(
おおかみ
)
のようなものだ。
赤ひげ診療譚:07 おくめ殺し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
漸
(
ようや
)
く持て余し気味で、芝愛宕下一円の若い男が、追われた
蠅
(
はえ
)
が
餌
(
え
)
に戻るように、懲り性もなくお常の茶屋に集まっておりました。
銭形平次捕物控:013 美女を洗い出す
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
職を
漁
(
あさ
)
りに出た夫もまだ帰って来ないとき、そして恵子が母親を待ち兼ねたとき、母親もまた
餌
(
え
)
を運んで来る子供達が待ちきれなくなって
接吻を盗む女の話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
そのくせ別におしげが
餌
(
え
)
をやるわけではなく、餌はわたし自身や長谷川がやるのです。それだのにロオラは一向、男には馴染まないのです。
オカアサン
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
私に
獅子
(
しし
)
の役をやらしてください。
雛
(
ひな
)
に
餌
(
え
)
をやる
女鳩
(
めばと
)
のように、私はやさしく
吼
(
ほ
)
えてみせます。
鶯
(
うぐいす
)
かと思われるように、私は吼えてみせます。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
こういう児であったればこそと
先刻
(
さっき
)
の事を
反顧
(
はんこ
)
せざるを得なくもなり、また今
残
(
のこ
)
り
餌
(
え
)
を川に投げる方が宜いといったこの児の語も
思合
(
おもいあわ
)
されて
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そしてその急須を両手で包みこむようにしてしばらくじっとしていたのち、鳥の
摺
(
す
)
り
餌
(
え
)
入れみたいに小さな茶碗の上に傾け
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
うまくランデブーすれば、
雄蝉
(
おすぜみ
)
は
莞爾
(
かんじ
)
として
死出
(
しで
)
の
旅路
(
たびじ
)
へと急ぎ、
憐
(
あわ
)
れにも木から落ちて
死骸
(
しがい
)
を地に
曝
(
さら
)
し、
蟻
(
あり
)
の
餌
(
え
)
となる。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
そして
餌
(
え
)
をねらう猛獣のような姿勢をして抜き足で出て来て、いよいよ飛びかかる前には腰を左右に振り立てるのである。
ねずみと猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
の野菜料理てのは
鶯
(
うぐいす
)
のスリ
餌
(
え
)
のようなものばかりだから、「ヴェジテラニヤン・クラブ」へ出入する
奴
(
やつ
)
は皆
青瓢箪
(
あおびょうたん
)
のような
面
(
つら
)
をしている。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
嵌
(
は
)
め、中には
餌
(
え
)
を入れておく。鶏は嘴が長いから柵をとおして
啄
(
ついば
)
むことが出来る。犬は柵に鼻が
閊
(
つか
)
えて食うことが出来ない。故に犬じらしという
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「強情はったら、帰れると思ってるから、おかしいのですよ、ほんとうにばかですよ、また私達にいびられて、
餌
(
え
)
にでもなりたいのでしょうよ」
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
さうネ、いつか来ても
好
(
いい
)
けど、何にもつれやしまひと思ひ升よ、それに
釣
(
つり
)
をするには針だの
餌
(
え
)
だのなければなりませんもの、
一寸
(
ちよいと
)
は来られないの。
鼻で鱒を釣つた話(実事)
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
彼は、河底の砂の上に
壜
(
びん
)
が一本転がっているのを見つける。中には水がいっぱい入っているだけだ。私はわざと
餌
(
え
)
を入れておかなかったのである。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
やがて最初の
餌
(
え
)
の肉のところへくると、大きな足跡が、そこへ立ちどまった形に残っていて、
肉塊
(
にくかい
)
はなくなっている。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
されば、更るがわる鈎を挙げて、
餌
(
え
)
を更め、無心にして唯
中
(
あた
)
りを待ちけるに、一時間許り
経
(
へ
)
ける時、果して鈴に響く。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
もちろん磯五は、恋というものを
餌
(
え
)
に、おせい様のまごころをあやつって、金を吐き出させようとしているだけのことなのだ。中年女の激しい恋だ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
人間感情の不具、ディフォーメーションを
餌
(
え
)
さにしているような文学に対して、私の文学ぎらいはつのります。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
これは神社の前で小鳥の
餌
(
え
)
を売ってる婆さんの話です。婆さんはその話をすると、いつもおしまいには小さな声で「お月様の唄」を歌ってきかせてくれます。
お月様の唄
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そしてガラス鉢の中でなんてのどかに
暮
(
くら
)
しながら、たくさんの
餌
(
え
)
をもらっているのだろう、でも、もしも自由になれたら、そしたらどんなに幸福だろう、と
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
清八は
爾来
(
じらい
)
やむを得ず、
己
(
おの
)
が
息子
(
むすこ
)
清太郎
(
せいたろう
)
の
天額
(
てんがく
)
にたたき
餌
(
え
)
小ごめ餌などを載せ置き、
朝夕
(
あさゆう
)
富士司を合せければ、鷹も次第に人の天額へ舞い
下
(
さが
)
る事を覚えこみぬ。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その金網籠の一つ一つに、それぞれ
所有主
(
もちぬし
)
の木札が附いている奴へ、番人が、それぞれに
餌
(
え
)
を遣っている。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
太陽は
煌々
(
こうこう
)
と輝いていた。神はすべてに食事を供していた。あらゆるものは各自の
秣
(
まぐさ
)
や
餌
(
え
)
を持っていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
端艇
(
たんてい
)
を
覆
(
くつが
)
へす
懼
(
おそれ
)
があるので
今
(
いま
)
しも
右舷
(
うげん
)
間近
(
まぢか
)
に
泳
(
およ
)
いで
來
(
き
)
た三四
尺
(
しやく
)
の
沙魚
(
ふか
)
、『
此奴
(
こいつ
)
を。』と
投込
(
なげこ
)
む
餌
(
え
)
の
浪
(
なみ
)
に
沈
(
しづ
)
むか
沈
(
しづ
)
まぬに、
私
(
わたくし
)
は『やツ。しまつた。』と
絶叫
(
ぜつけう
)
したよ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其
陸
(
りく
)
の
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の蔭に「死の宗教」の花が咲いた印度の
洋
(
うみ
)
は、
餌
(
え
)
を求めて
饜
(
あ
)
くことを知らぬ死の海である。烈しい
暑
(
あつ
)
さのせいもあろうが、印度洋は人の気を変にする。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
当時住んでいた長屋の窓下に
蚯蚓
(
みみず
)
を
餌
(
え
)
にして仕掛けをして鴉の寄るのを窺ったりしたことがある。
夕張の宿
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
また動物は
餌
(
え
)
にしません。象のようなものです。草と小さな魚を食事にしているのです。けれどその力は強く、いちど怒ったら
巨船
(
きょせん
)
でもうち沈めるだけの事をやります。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
雇われた二人の漁夫は二人の漁夫で、
二尋
(
ふたひろ
)
置きに
本縄
(
ほんなわ
)
から下がった針に
餌
(
え
)
をつけるのに
忙
(
せわ
)
しい。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
饜
(
あ
)
くことを知らない
polype
(
ポリイプ
)
の腕に、自分は無意味の
餌
(
え
)
になって
抱
(
いだ
)
かれていたような心持がして、堪えられない程不愉快になって来るのである。そしてこう云った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
玄関番
(
コンシェルジュ
)
との口論の調停、物もらいとの応待、蓄音器のゼンマイ巻き、小鳥に対する
餌
(
え
)
の配給、通信事務の遂行、と、
丁稚
(
でっち
)
輩下のごとく追い使われ、相勤めまする一日十余時間
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「や、南無三、
餌
(
え
)
を取られた。……それは
然
(
そ
)
うとオイ直助、今日は鰻は取れたのか?」
隠亡堀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
築山のあたりには、鶏が六七羽、さっきからしきりに土をかいては
餌
(
え
)
をあさっている。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
そういう武装は、原始林にいどみ、野獣に備え、
餌
(
え
)
ものを
漁
(
あさ
)
る用具であった。踏みあばいて行く川の
畔
(
ほとり
)
の
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
つづきの森林に、彼らはふと、黒々と見える常緑の
水松
(
おんこ
)
を発見した。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
お清は笑いながら奥へ入って
了
(
しま
)
った。人通りの
尠
(
すくな
)
い往来には、
小禽
(
ことり
)
が
餌
(
え
)
を
猟
(
あさ
)
っていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
台所前の
井戸端
(
いどばた
)
に、ささやかな
養雞所
(
ようけいじょ
)
が出来て毎日学校から帰ると
雞
(
にわとり
)
に
餌
(
え
)
をやる事をば、非常に面白く思って居た処から、其の上にもと、無理な
駄々
(
だだ
)
を
捏
(
こね
)
る必要もなかったのである。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
宛然
(
えんぜん
)
「
市楽所
(
しらくしょ
)
」の空気だ。横へ出たところに植込みをめぐらしたあき地があって、雪のように真っ白に鳩が下りている。母や姉らしい人につれられた子供達が
餌
(
え
)
をやっているのだった。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
尽
(
つく
)
した楽器のようで鳥の声とは思われなかったそれに声の寸が長く張りもあればつやもあったされば天鼓の取り扱いは
甚
(
はなは
)
だ
鄭重
(
ていちょう
)
で食物のごときも注意に注意を加えさせた普通鶯の
擦
(
す
)
り
餌
(
え
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
長女 どうするの? よし坊ちゃんがねてる間に、もう
餌
(
え
)
をやっといたわよ。
病む子の祭
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
小鳥の好きな
兵衛
(
ひょうえ
)
は明日の朝の
餌
(
え
)
を
摺
(
す
)
るのに片肌ぬいで
干鰕
(
えび
)
をしごいていた。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
わしの
餌
(
え
)
とならねばならぬ
因縁
(
いんねん
)
をもっているか、をつくづくと考えてみることは、いかにも
仙哲
(
せんてつ
)
にふさわしき振舞いじゃが、鯉を捕える前に、そんなことをくどくどと考えておった日には
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
はじめ、
餌
(
え
)
の代りに、靴底の革を切って釣針につけて、海に投げてやると、またたくまに、一尾の大きな魚が釣れた。その魚の肉を餌にして、さらにカメアジや、
鮫
(
さめ
)
や、
阿呆鳥
(
あほうどり
)
を釣り上げた。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
“餌”の解説
餌(えさ、え、じ)は、動物を飼育や捕獲するための食物。ベイト(en: Bait)とも呼ぶ。
動物が自らの糧として獲得する食料をいうこともあるが、この語義は掲載しない国語辞典もあり、「餌生物」や「餌資源」といった表現は「食物資源」や「採食資源」とすべきという指摘もある。
(出典:Wikipedia)
餌
常用漢字
中学
部首:⾷
15画
“餌”を含む語句
餌食
食餌
餌取
餌箱
香餌
薬餌
餌差
餌差町
餌付
餌桶
餌料
餌猪口
練餌
餌袋
好餌
餌物
摺餌
生餌
餌壺
餌取小路
...