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それがまへつたように人間にんげんおほくなるにつれて木材もくざいがいよ/\おほ必要ひつようとなり、どんどんるため、村落そんらくちかやまはもとより
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
借りた方は精々せっせっり出して、貸元かしもとの店へ材木を並べるばかり。追っかけられて見切って売るのを、安く買い込んでまたもうける。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
農夫は畠か森で、耕したり木をったりして終日ひとりで働きしかも孤独を感じないですむ。それは彼が仕事をしているからである。
京橋尻の、もと梅賀がいた家の近くに、河に添って広い空地があり、り残された団栗林どんぐりばやしのわきに、軒傾いた木賃宿が二、三軒ある。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小木せうぼくえだ諸共もろともたほして猛進まうしんするのであるから、如何いかなる險山けんざん深林しんりんくわいしても、まつた進行しんかう停止ていしせらるゝやうなうれひはないのである。
帰路きろ余は少し一行におくれて、林中りんちゅうにサビタのステッキをった。足音がするのでふっと見ると、むこうのこみちをアイヌが三人歩いて来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その周囲には春楡はるにれ山毛欅ぶななどの巨大な樹木が自然のままにり残されていて、ひと棟の白壁の建物が樹木の間に見え隠れていた。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
ほどならば何故なぜかれ蜀黍もろこしることをあへてしたのであつたらうか。かれれまでもはたけものつたのは一や二ではない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
我々、老人は、もうこの山の上では、必要ではなくなりました。富岡技官も、まづ、木をるよりも、弁論家にならなければ駄目ですな
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
沢川の根というところは少しく平になっている、数年前会社で木をり出した時に、六尺幅ほどの林道を作ったその跡だという。
白峰の麓 (新字新仮名) / 大下藤次郎(著)
その寺はすでに駒込へ移ることになっており、境内の木などもおおかたられていたが、そこにある橋は、まだ吉祥寺橋と呼ばれていた。
十数畳の大広間片側に金屏風をめぐらし、十四、五の少女一枝の牡丹をり来りてこれを花瓶かびんはさまんとすればしきりにその名を呼ぶ者あり
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
阿父おやぢの大事な桜の木をつて、嘘一つき得なかつたジヨオージ・ワシントンが先づそれで、食事をするにはいつも肉刀ナイフで済ましてゐた。
「なんだと、にせものだからにせものと云つたんだ。生意気いふと、あしたをのをもつてきて、片つぱしからつてしまふぞ。」
かしはばやしの夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
試みに南天の幹をって見ると、必ずその切口の下の方にある用意の芽から、時こそ来れと新しく芽出めだって来るのを見受ける。
それから、附近を詮索せんさくして水道の工事があり、やがて開墾にとりかかって、草木を焼き、或いはり、開くあとから種をきはじめました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
十二月の十三日に、山に入って木をって来る習わしがあるか。この日を正月支度の始めとする慣例または言い伝えがあるか。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いま、人間にんげんは、ひじょうないきおいで、いたるところでたおしている。いつ、このはやしほうへもせてくるかしれない。
あらしの前の木と鳥の会話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あいにくこの事実がわかったころには同時にこの肝心の材料がおおかたり尽くされてなくなった事がわかったそうである。
災難雑考 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
城の前には、能美河のうみがわ新道しんどう河が流れ、この二つの川の落ち合うところは、大木をって逆茂木さかもぎとし、水流をせき止めるために杭を打ち渡した。
山の木をったり、土を掘りくりかえしたり——つまり、これは一人前だ、と、そう認める膂力りょりょくであった。労働に耐え得る体格であったのだ。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「昔はこの木曾山の木一本ると、首一つなかったものだぞ」なぞと言って、陣屋の役人からおどされたのもあの時代だ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
猟師は楓の細木をたおし、枝葉を払わないままで、柱を立て、私たちの用意して来た、二畳敷ほどな油紙二枚を、人字形に懸けて、家根を作る。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
これらは皆チベット政府の属領ですが、この辺から樹をり出したところでチベット内地に持って行くことは出来ない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「それは、僕の望むところだ、」と彼は獨語ひとりごとのやうに云つた。「それこそ僕の望むところだ。道には色々の障りがある。それはり倒すばかりだ。 ...
なお行くと、林からって来た樹を、そのまんま門にして、緑の葉っぱで飾った凱旋門みたいなものが行手に見えた。
おれはずっと昔から山奥の洞穴ほらあなで、神代かみよの夢ばかり見ていたが、お前が木をりに来始めてからは、その笛の音に誘われて、毎日面白い思をしていた。
犬と笛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
甲斐守は之をゆびさし藩中の士を顧みて、この木はわが幽閉の紀念である。今は用なければって薪木たきぎにでもせられたがよいと言って笑ったそうである。
枇杷の花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
吾家にしゃくとどめ給ひてその巻物を披見ひけんせられ、仏前に引摂結縁いんじょうけちえんし給ひてねんごろ読経供養どきょうくようを賜はりしのち、裏庭に在りし大栴檀樹だいせんだんじゅつて其の赤肉せきにくを選み
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「そうだ。首りをすればいい。首を伐って武勇を示せば、人々の尊敬をかち得るし、あわよくば再び女までも手に入れることが出来るかもしれない」
霧の蕃社 (新字新仮名) / 中村地平(著)
たとえば大樹をるに、先ず附枝ふしるが如し、親藩既に滅びなば、朝廷孤立し、奸臣志を得んには、社稷しゃしょくあやうからん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
べつはらちもしませぬ……。枝振えだぶりをなおめにるのと、悪戯いたずらるのとは、気持きもちがすっかりちがいます。私達わたくしたちにはその気持きもちがよくわかるのです……。
罹災者りさいしやたゞちにまたみづか自然林しぜんりんからつて咄嗟とつさにバラツクをつくるので、がう生活上せいくわつじやう苦痛くつうかんじない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
くにかへつて田地でんちを買ふ約束をしたり、いへたて木材きざいを山からすやうにしたり、ちやんと手筈てはずけて江戸えどかへつてると、塩原多助しほばらたすけんでゐた。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
られた山にはもう一度いつとなしに又草が茂り木が生ひ立ってきた。松茸山には小松が一斉に伸び立ちはじめ、雑木山には夥しい漆の若木が茂って来た。
夏蚕時 (新字旧仮名) / 金田千鶴(著)
ジヨホオルでの護謨ゴム栽培は一年の借地料が一エエカア五十銭だ。づ山地の密林をり開いて無数の大木を焼棄するのに費用がる。この焼棄が容易で無い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
墓地は昔と比べてはすこぶる明るくなつてゐるのをかれは見た。それも先住がそのうしろの杉森をつた為めであつた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
坂本は大川に面した北手きたての展望を害する梅の木をること、島町しままちに面した南手の控柱ひかへばしらと松の木とに丸太を結び附けて、武者走むしやばしりの板をわたすことを建議した。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
移せるような木はここの庭へもって来たが、大きいのは仕方がないのでってしまって、それで冬の日は殆んど毎日、盆だの像だのを刻んでいるのであった。
由布院行 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「兄さん、あの、竹を二十本ばかりらしてくれつて、熊川のおじさんが来てなさるが、どうしましよう?」
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)
アーニャ (ドアの口で)ママのお願いなんだけど、出かけるまでは、庭の木をらないでくださいって。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ほかの誰がやっても、こう安くはできんが、第一、進駐軍用材の名で買いつけてガソリンを貰って、原木を他人にりださせたとあっては、オレのコレが危いわい
現代忍術伝 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
すると先刻さっき見た梧桐ごとうの先がまたひとみに映った。延びようとする枝が、一所ひとところり詰められているので、またの根は、こぶうずまって、見悪みにくいほど窮屈に力がっている。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
林で誰か木をっている。カーン、カーンとその音が秋の空気へ響き渡り、湯槽ゆぶねへ落ちる湯の音が、トコトコトコトコと聞こえて来る。山里らしい静けさである。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
池のはたの杉の木が、すっかりり払われて、何かこれから工事でもはじめられる土地みたいに、へんにむき出しの寒々した感じで、昔とすっかり変っていました。
ヴィヨンの妻 (新字新仮名) / 太宰治(著)
二十人ばかりの日傭人ひやとひにんがそこへ入りこんで、林檎や葡萄や実桜さくらんぼを片つぱしからり倒してゐるのだ。樹はいづれも衰へてせてゐたが、まだ枯れては居なかつた。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
豊雄是を見て、只一八三あきれにあきれゐたる。武士らかけめぐりて、一八四ちかきとなりを召しあつむ。一八五をぢ一八六よねかつ男ら、恐れまどひて一八七うずすまる。
だから、ぼくはまた斜面をいあがると、横ざまに倒れ青空の奥をみつめたまま、ちょうど山からり出されてきた材木のような姿勢をとり、またしてもころげ落ちる。
煙突 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
太い杉の樹をたふして、美しく皮をいたのがあつたので、二人は其の上に並んで腰をかけた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
前の年にらせてお置きになりまして、その年の夏の洪水に自然と流れ出るように計らわれたと申すくらい、なおその上にも六人の奉行に加増の御沙汰がござりまして
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)