麻痺薬しびれぐすり)” の例文
旧字:麻痺藥
酒屋の白日鼠、仰天して戻るやいな、からみ合いの争いと見せ、それをくぐって、呉用先生が、すばやく、麻痺薬しびれぐすりを椀に入れ、その手で、桶の酒を汲もうとする。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
総体の様子がどうも薄気味の悪いところで、私はこの坂に来て、武の家の前を通るたびにすぐ水滸伝の麻痺薬しびれぐすりを思い出し、武松ぶしょうがやられました十字坡じゅうじはなどを想い出したくらいです。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
お気の毒だと介抱して呑ませた薬は麻痺薬しびれぐすりだ、手前てめえの身体がきかねえうちに衣類きものから懐中物まで引攫ひっさらってげるのを、盗人仲間どろぼうなかま頭突ずつきというのだ、あの時さらった書付からまんまと首尾よく八十両
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
麻痺薬しびれぐすりゆきに日ねもすせて
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
がんじがらめに荒縄をかけたうえ、麻痺薬しびれぐすりめたところを、また寄ッてたかッて蹴るやら撲るやらしたもんでしょう。坊主頭も見られたざまじゃありません。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
麻痺薬しびれぐすりの使われた手順だが、これがまた、すこぶる手のこんだ筋書だった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)