鳳雛ほうすう)” の例文
いつか司馬徽しばきの山荘に一夜を送った時、司馬徽のいうには、いま伏龍ふくりゅう鳳雛ほうすう、二人のうちその一人を得れば、天下を定めるに足らんと。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は今春水より其鳳雛ほうすうを托せられたり、彼は喜んで国史を談じたりき、而して是実に襄の聞くを喜ぶ所なりき。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
嚠喨りゅうりょうとして喇笛らてきが吹奏され、まっ先にくる鞍上の人を見れば、これなん劉玄徳。左右なるは、伏龍ふくりゅう孔明、鳳雛ほうすう龐統ほうとうの二重臣と思われた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かの水鏡先生が、孔明と並び称して——伏龍ふくりゅう鳳雛ほうすうといった——その鳳雛とは、襄陽じょうよう龐統ほうとうのことだが、その龐統も見えている。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むかし司馬徽しばき徐庶じょしょ先生が、もし伏龍ふくりゅう鳳雛ほうすうふたりのうち一人でも味方にすることができたら、天下の事も成ろうと予にいわれたことがある。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、司馬徽しばきが云った、臥龍がりょう鳳雛ほうすうの一人がもしやその浪士ではないかしらなどと思った。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
坂の途中の石垣の土煙はその時んで、秋の大気は澄んでいた。汗をふき、くわの手を止め、百姓たちは、を出る老龍と、ともなわれてゆく鳳雛ほうすうのすがたとを、見送っていた。——
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうですか。……時に、昨日先生の仰せられた臥龍がりょう鳳雛ほうすうとは一体どこの誰のことですか」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有名なる襄陽じょうよう鳳雛ほうすう——龐統ほうとう来れり、と聞いて、曹操のよろこび方は一通りではなかった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身をかくすひまもあらばこそ、矢風の中にいなないた彼の白馬はたちまちくれないに染まり、雨よりしげき乱箭らんせんの下に、あわれむべし鳳雛ほうすう先生——龐統は、稀世の雄才をむなしく抱いて
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「世々襄陽じょうようの名望家で、龐統ほうとうあざな士元しげん、道号を鳳雛ほうすう先生ともいう者ですが」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
臥龍がりゅう鳳雛ほうすうということをよくいっていたが、その臥龍とは、孔明をさし、鳳雛とは、龐徳公の甥の——龐統をさすものであることは、知る人ぞ知る、一部人士のあいだでは隠れもないことだった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わが道号は鳳雛ほうすうという。落鳳坡らくほうはとは、あらいまわし」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)