高処たかみ)” の例文
旧字:高處
わちとら親子は高処たかみから一揆を見物しているわ。ああうまいことした。甚作、厄逃れのお祝いに、神棚へお灯明であげいよ。
義民甚兵衛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ずっと四方を見透すことの出来る高処たかみに坐って、静かに下界を見おろしてござる読者には、下界で行われているいろんないざこざも楽々と批判することが出来ようけれど
そのすこし前の戦争の時にはこの高処たかみへも陣が張られたと見えて、今この二人がその辺へ来かかッて見回すとちぎれた幕や兵粮ひょうろうの包みが死骸とともに遠近あちこちに飛び散ッている。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
ゲーテが、自分が高処たかみにのぼったり、やかましい音、いやなものを見て感じる、おく病やだらしなさを、ためるために、強制的練習法をとった。これを、我々近代人は、何と見てよいのだろう。
窓の外をこがらしが吹く音をききながら寝ていると、自分が非常な高処たかみに巣をつくっているような気がしてきて妙だそうである。また樹上に坐禅を組んだという栂尾とがのお明恵上人みょうえしょうにんのことがしのばれるという。
西隣塾記 (新字新仮名) / 小山清(著)