高値こうじき)” の例文
おれの青梅と眼がついたな、あの金襴きんらん織りの守り袋からだよ。ありゃ青梅おうめ金襴といってな、ここの宿でなきゃできねえ高値こうじきなしろものさ。
『薬はまだ伸びない。なにしろ火鉢の火がかすかだからな。いくら諸式しょしき高値こうじきでも、こゝの店は随分倹約だぞ。まるで蛍のやうな火種ひだねしか無いのだからな。』
赤膏薬 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「諸君、二円五十銭じゃ言うたんじゃ、えか、諸君、熊手屋が。露店の売品の値価ねだんにしては、いささか高値こうじきじゃ思わるるじゃろうが、西洋の話じゃ、で、分るじゃろう。二円五十銭、可えか、諸君。」
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勿論、ほかに奉公人もあるが、高値こうじきの売り物をかかえて武家屋敷へ出向くのであるから、主人自身がゆくことにして、喜右衛門は日の暮れるのを待っていた。
半七捕物帳:41 一つ目小僧 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一匁いくらというような高値こうじきなおいらのからだが、そうたやすくぽうっとなってたまるけえ。
おれのむっつり虫は、一匹いくらという高値こうじきなしろものなんだ。気味のわるいところをお目にかけてやるから、てめえのその二束三文のおしゃべり虫ゃ油で殺して、黙ってついてきな。