おごり)” の例文
……そんな不逞もひそんでいたし、いまとなれば恥かしい慢心だが、家の家計を負っているのは自分だという生意気なおごりもあった。
紋付を着るの記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
 貴女にそのおごりと、虚飾みえの心さえなかったら、一生聞かなくとも済む、また聞かせたくない事だった。貴女、これ。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それおごりをもて治めたる世は、往古いにしへより久しきを見ず。人の守るべきは倹約なれども、一五二過ぐるものは卑吝ひりんつる。されば倹約と卑吝のさかひよくわきまへてつとむべき物にこそ。
天どんなぞはおごりの沙汰で、辻売のすいとん、どうまた悟りを開いたか、茶めし、あんかけ、麦とろに到るまで、食いながら、つまみながら、その色もの、また講釈、芝居の立見。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)