馳上かけあが)” の例文
忙がしいのでイライラしていた俺は、二等運転手チャプリンの話が五月蠅うるさかったんだろう。そのまま一気にタラップを馳上かけあがって、船長室に飛込んだ。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
山三郎は早くも船よりあがりまして新井町へ駈けつけて、うち馳上かけあがって見るとおふくろも妹も居りません、其処そこに留守居をして居るのが馬作一人。
あわただしく崖の小道を馳上かけあがって来て、皺枯しわがれた大声に
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
それから背後うしろドアを押して玄関の横から狭い木の階段をスルスルと馳上かけあがって二階へ出た。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)