馬場ばんば)” の例文
馬場ばんばかかると、早や日脚がって、一面に蔭った上、草も手入らずに生え揃うと、綺麗きれいに敷くでござりましてな、成程、早咲の桔梗ききょうが、ちらほら。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
峠で力餅ちからもちを売りました、三四軒茶屋旅籠はたごのございました、あの広場ひろッぱな、……俗に猿ヶ馬場ばんば——以前上下のぼりくだりの旅人でさかりました時分には、何が故に、猿ヶ馬場だか
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すらりと飯櫃形いびつなりの猿ヶ馬場ばんばに、吹溜ふきたまった落葉を敷いて、閑々と静まりかえった、うもれ井戸には桔梗ききょうが咲き、すすき女郎花おみなえしが交ったは、薄彩色うすさいしきしとねのようで、上座かみくらに猿丸太夫、眷属けんぞくずらりと居流れ
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)