香具こうぐ)” の例文
御伽羅おんきゃらあぶら花橘はなたちばなにつれ」て繁昌はんじょうする永斎堂えいさいどうが店先(中巻第四図)大小立派なる武士のなまめかしき香具こうぐ購ふさまさすが太平の世の風俗目に見る如し。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「第一人相もよろしくない。どことなく凄味すごみがある。また、知客しかが迎えたとき、禅家の作法もよくわきまえぬものか、たずさえている香具こうぐ座具ざぐ袈裟けさなどの使い方にも、まごまごしおった」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
香具こうぐ渡世の仲間入を致したといわれては、何うも同役の者に聞えてもはずるわけなれば、仲間入の儀はひらにお断りを申します、あなたも廉く売るときっと売れますよ、高く売れば品は沢山たんと出ない
姉は仕事に疲れた弟を慰めようとして、暇のある時は、この家に伝わる陶器、漆器、香具こうぐたぐいなどを出して来て見せた。ある日、お種は大きなかぎを手にしながら、裏の土蔵の方へ弟を導いて行った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)