饗庭あえば)” の例文
文章は、上巻の方は、三風来ふうらい全交ぜんこう饗庭あえばさんなぞがごちゃ混ぜになってる。中巻は最早もう日本人を離れて、西洋文を取って来た。
予が半生の懺悔 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
武蔵の村々に饗庭あえばという地名かまたは家名が多いが、相場もこれと同じく、ともに道饗祭みちあえまつりすなわち邪神祭却の祭場のことであろう。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
夜半、旗本の饗庭あえば氏直は、彼のむねをおびて、直義のいる八幡やわたへ馬をとばして行った。あとの尊氏は、魚見堂で眠りについた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さらに気を変えて飄逸の方面を物色すると、まず饗庭あえば篁村翁を挙げたい。翁の性格の如くその筆蹟もすこぶる飄逸で、無邪気な、恬淡てんたんな翁独得の妙味があります。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
副級長の饗庭あえば芳子という美しい娘が、啓吉を見てにこにこ立ちあがって来た。
泣虫小僧 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
丁度其処へ饗庭あえば——これもお前の、よく知った人だ。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
万一、かかるあいだにこう殿との直義ただよし)が破れ、宰相さいしょう(尊氏)の中軍も突かれなどしたら一大事です。——まず饗庭あえばが捨て石となって駈け入りますゆえ、ときをはずさず、おつづきください
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
饗庭あえばは一日おいて帰って来た。講和はいれましょうと直義は言っているという。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのとき、少弐の隊にいた饗庭あえば弾正だんじょう左衛門さえもんが、頼尚の馬前へ来て
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)