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餠屋
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もちや
乞と
暫縁の
下に
休ひぬ
餠屋の店には
亭主と思しき男の居たりしかば寶澤其男に
向申けるは私しは
腹痛致し甚だ
難澁致せば
藥を
遣ひ盡しはや一錢も
無なりいと
空腹に成しに
折節餠屋の
店先なりしが
彳みて手の内を
撰みて
元服させ表向
養子の
披露もせんとて色々其
用意などしける處に或時
本店の加納屋より
急使來り同道にて參るべしとの事故
餠屋の
亭主は大いに驚き何事の出來せしやと
取物も取敢ず
急ぎ本店へ
赴きけるに利兵衞は餠屋を