“餞(はなむ)” の例文
(三) 孔子は魯の君の後援により南宮敬叔(なんぐうけいしゅく)とともに周に行って老子に逢った。別れる時に老子は次の言を餞(はなむ)けした。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
カンタータを合唱して遙(はる)かなる旅への首途を祝し、銀の台杯に祖国ポーランドの土を盛って餞(はなむ)けしてくれた。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂、野村あらえびす(著)
と云うは一つに、彼地にて娶(めと)りし仏蘭西(フランス)ブザンソンの人、テレーズ・シニヨレに餞(はなむ)ける引手箱なりと云う。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いよいよ明日は一と先ず郷里へ引上げるというその前夜、長い汽車の旅の児供の眠気ざましにもと些(いささ)かの餞(はなむ)けを持って私の妻が玄関まで尋ねた時も誰何され、何の用事かと訊問された。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
などと、朗らかな餞(はなむ)けの言葉はあとからあとへと新郎新婦の上に抛(な)げられる。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「序(ついで)をもって、私は一個人として新家庭に円満法を一つ餞(はなむ)け致したい」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
餞(はなむ)けする事にする。東海道を
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
老子が孔子に餞(はなむ)けしたと言われる言は、自己を主張せず理智に拘泥(こうでい)せず、我を虚(むな)しくして世に順応せよと教えた点において、『老子』の思想を一句に表現していると見ることもできる。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)