食物かて)” の例文
「いやとよ大王。大王もしまこと空腹ものほしくて、食物かてを求め給ふならば、やつがれ好き獲物をまいらせん」「なに好き獲物とや。……そは何処いずこに持来りしぞ」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
こんな苛責くるしみに会いながら、病気一つせずに、日にし丸々と肥って、康強すこやかに、美しくそだって行くのです、この島の清らかな風と、水と、豊穣ゆたか食物かてと、美しい、楽しい
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
済まぬは花瀬が胸のうち、その日よりして物狂はしく。旦暮あけくれ小屋にのみ入りて、与ふる食物かて果敢々々敷はかばかしくくらはず。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
オー聴水なりしか、よくこそ来りつれ。まことなんじがいふ如く、この大雪にて他出そとでもならねば、独り洞に眠りゐたるに、食物かて漸くむなしくなりて、やや空腹ものほしう覚ゆるぞ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)