頬桁ほほげた)” の例文
彌次馬の聲援、畢竟は我が味方と、芳は勇み立つて、無手むずと對手の襟髮を掴むや、馬手めての下駄は宙を飛んで、その頬桁ほほげたを見舞はんとす。
二十三夜 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
私は憤然として、提督の頬桁ほほげたをなぐりとばした。私は、もはやこれ以上、日本民族への侮辱にたえられなかったのである。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
激情で盲目になった彼は、もう口で喧嘩をしている余裕がなくなった。握りかためた両手の拳固が、二人の男の頬桁ほほげたに、噛みつくように飛んで行った。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
彼は憎き女の頬桁ほほげたをば撃つて撃つて打割うちわあたはざるをうらみなるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「その頬桁ほほげたを張りのめしてくれべい。」
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)