領主りょうしゅ)” の例文
「小船は一そうありますが、八幡船のゆく先ばかりは、いままで領主りょうしゅのご用船が、死に身になって取りまいても、きりのように消えて、つきとめることができないほどでござります」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
領主りょうしゅ奥方おくがた御通過ごつうかというので百姓ひゃくしょうなどは土下座どげざでもしたか、とっしゃるか……ホホまさかそんなことはございませぬ。すれちがときにちょっと道端みちばたけてくびをさげるだけでございます。
ついでに、あの信玄しんげん石碑せきひなども、ほりのそこへ投げこんでしまうがいい。あんなものを辻にたてておくから、いつまでも百姓ひゃくしょう町人ちょうにんめが、旧主きゅうしゅをわすれず新しい領主りょうしゅをうらみに思うのだ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無慈悲むじひ領主りょうしゅに殺されたおときは、すこし気がヘンになって、戸狩村からどこともなくさまよいだしていたが、あぶないいのちをすくわれて、かのじょはまた、気もくるわしく泣くのであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)