霊屋たまや)” の例文
旧字:靈屋
巡査が一人根岸から上がって来て、純一を角灯で照して見て、暫く立ち留まって見ていて、お霊屋たまやの方へ行った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その時にお八代さんは唯一人でお霊屋たまやの掃除をされるついでに、この方丈に立ち寄られて、茶を飲まれましたが、四方八方よもやまのお話の序に……まだちっと早いようじゃけれど、来年の春
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それを見るとお八代さんは何やら胸がふさがりましたらしく、急いで顔を押えながらお霊屋たまやの方へ行かれましたが、私はあとに残りまして、まことにお似つかわしいお二人の姿を見守りながら
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
鶯坂うぐいすざかの上を西へ曲って、石燈籠いしどうろうの列をなしている、お霊屋たまやの前を通る頃には、それまではだえを燃やしていた血がどこかへ流れて行ってしまって、自分の顔のあおくなって、膚にあわを生ずるのを感じた。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)