隻脚せっきゃく)” の例文
隻脚せっきゃく——だがその不自由さも今はK氏の詩情や憂愁を自らいたわる生活形態と一致させたやや自己満足の諦念ていねんにまで落ちつけたかに見うけられる。
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
殊に官兵衛は、伊丹城中いたみじょうちゅう遭難そうなん以来、不治の隻脚せっきゃくとなっているので、君前でも、そのための横坐りはゆるされていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
司令は誰あろう、この前の第三次世界大戦の空戦に赫々かくかくたる勲功くんこうをたてた大勇将として、人々の記憶にもはっきりのこっている、あの隻脚せっきゃく隻腕せきわん大竹おおたけ中将であった。
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして当の官兵衛は、将監のすがたを見かけると、いそいで輿こしを地上に降ろさせ、不自由な隻脚せっきゃくを立てて
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)