阿難あなん)” の例文
仏教の第二祖阿難あなんの本名舎頭諫ザルズーラ・カルナ、これは虎の耳の義だ。虎を名とした本邦人で一番名高いのは、男で加藤虎之助女で大磯の虎女だろ。
そして、新しく生れたものは、仏、阿難あなんと共に、この世の、真の光に浴することのできる身をもった、素直な一箇の生命であったのでござる……
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
阿難あなん、仏に問う、『もし人、墳塔を造立すれば、これ人の精魂の中にあるやいなや』と。仏いう、『またあり、またあらず』と。阿難また問う、 ...
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
しかも道に進むの望を有して弟子となっていた阿難あなんは、この事を目撃して、成程貧富を平等に視なければならぬと考えたので、如何なる家をも択ぶこと無く接近した。
貧富幸不幸 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「しかたがない。阿難あなん身体からだから光を放った時に、釈迦しゃかがもう一度出現されたと解釈したなま賢い僧があったということだから、院を悲しむ心の慰めにはせめて匂宮へでも消息を奉ることだ」
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そのときちょうど、迦葉かしょう阿難あなんの二尊者そんじゃを連れた釈迦牟尼如来しゃかむににょらいがそこを通りかかり、悟空の前に立ちふさがって闘いをめたもうた。悟空が怫然ふつぜんとしてってかかる。如来が笑いながら言う。
野干すなわち口脚を以て水を通ず、水入って井に満ち師子浮み出づ、仏いわく師子王は我身これなり、五百師子は諸比丘是なり、野干は阿難あなん是なりと〉。
彼と、彼をめぐる後宮の女性にょしょうたちの生活をながめて、仏は、翌日、弟子の阿難あなんを招いて、こう告げたのであります
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出家功徳経のはなしは今、釈尊しゃくそんが、毘舎離国びしゃりこくに入って、弟子の阿難あなんと共に、その国の王子の生活ぶりをながめて、嘆いている——という例話に入っていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この竜頭太になろうて造り出されたものか、一八八三年版、ムラの『柬埔寨王国誌ル・ロヨーム・ジュ・カンボジュ』二に、昔仏阿難あなんを従え、一島に至り、トラクオト(両舌ある大蜥蜴おおとかげ)の棲める大樹下に