門墻もんしょう)” の例文
彼の歌想は他の歌想に比して進歩したるところありとこそいうべけれ、これを俳句の進歩に比すればいまだその門墻もんしょうをもうかがい得ざるところにあり。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
くの如く下谷和泉橋のあたりは明治七、八年の頃に至って再び安政文久当時の如く文人騒客の門墻もんしょうを接する地となった。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
新坂にはわが稚き頃大学総長浜尾氏のやしき、音楽学校長伊沢氏の邸、尾崎咢堂おざきがくどう僦居しゅうきょ門墻もんしょうを連ね庭樹の枝を交へたり。この坂車を通ぜざりしが今はいかがにや。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
寺の門前には茶畠を隔てて西洋風の住宅がセメントの門墻もんしょうをつらねているが、阪を下ると茅葺かやぶき屋根の農家が四、五軒、いずれも同じような藪垣をいめぐらしている間に
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)