鎖襦袢くさりじゅばん)” の例文
男はじる色もなかった。二人のほかにも、槍を向けて自分を凝視ぎょうししている鎖襦袢くさりじゅばんや、火事装束の人影が見えるのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鎖襦袢くさりじゅばんが肌を守っていなかったら、数右衛門の肩は削ぎ落されていたに違いない。すさまじい刃の力だった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かけつづく面々めんめんには、忍剣にんけん民部みんぶ蔦之助つたのすけ、そして、女ながらも、咲耶子さくやこまでが、筋金入すじがねいりの鉢巻はちまきに、鎖襦袢くさりじゅばんはだにきて、手ごろの薙刀なぎなたをこわきにかいこみ、父、根来小角ねごろしょうかくのあだを
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その朱門の中からワラワラとあふれだしたおびただしい浪人武者ろうにんむしゃ! 黒装束くろしょうぞく小具足こぐそくをつけたるもの、鎖襦袢くさりじゅばんをガッシリとこんだもの、わらじ野袴のばかま朱鞘しゅざやのもの、異風いふうさまざまないでたちで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)