鍾愛しようあい)” の例文
黄蜀葵とろろあふひ土耳古皇帝とるこくわうてい鍾愛しようあいの花、麻色あさいろに曇つた眼、肌理きめこまかな婀娜あだもの——おまへの胸から好いにほひがする、潔白の氣は露ほどもないにほひがする。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あぶらの乘りきつた非凡の美色で、取廻しの色つぽさと、物言ひの艶めかしさは、まことに天稟てんぴんと言つてよく、丁子屋善兵衞の鍾愛しようあいも思ひやられました。
われは我鍾愛しようあいの物、我がしば/\接吻せし物、我が心血をそゝぎし物、我が性命ある活思想とも稱すべき物をもて、熾火しくわの裡になげうちたり。我詩卷は炎々として燃え上れり。
その鍾愛しようあいもまた並大抵ではなかつたらしく、悲歎に暮れる姿は、日頃のたしなみも忘れて、まことに哀れ深いものでした。
實際お糸は竹の中から出た姫のやうな、輝くばかりの美しさと、の上に舞はせたいやうな小柄で、その異常な美しさがまた市之助の鍾愛しようあいの的になつた、一つの特色でもあつたのでせう。