錯々せっせ)” の例文
何につかってもいような金が二百円ばかりあった。彼女の為とあらば、錯々せっせと働いて得た報酬も惜しくない。どうかしてその金を費おうと思った。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
二人は腰に差した鎌を取出して、時々鍬に附着する土を掻取かきとって、それから復た腰をこごめて錯々せっせとやった。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
女二人が錯々せっせもみふるったり、稲こきしたりしているに引替え、この雇われた男の方ははかばかしく仕事もしないという風で、すこし働いたかと思うと、すぐに鍬を杖にして
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
馬場裏の往来に近く、南向の日あたりの好い障子のところに男や女の弟子でしを相手にして、石菖蒲せきしょうぶ万年青おもとなどの青い葉に眼を楽ませながら錯々せっせと着物をこしらえる仕立屋が居る。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
錯々せっせと働いて余分に貯めて来た金は、何に費したともなく費された。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)