鉤裂かぎざき)” の例文
膝の抜けかゝった盲縞めくらじまの股引に、垢染みたあい万筋まんすじ木綿袷もめんあわせの前をいくじなく合せて、縄のような三尺を締め、袖に鉤裂かぎざきのある印半纏しるしばんてん引掛ひっかけていて
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
正月の七草ななくさのすんだころ、克子はまだ正月気分が忘れられなかったのか、お母さんの知らぬまに一帳羅いっちょうらの洋服を着て出ていき、大きな鉤裂かぎざきをこしらえてもどってきた。
赤いステッキ (新字新仮名) / 壺井栄(著)
平次がうなつたのも無理はありません。着物はまだ眞新しいのですが、ひどくほこりと泥とに汚れて、所々には蜘蛛くもの巣が引掛つて居る上、幾つかの鉤裂かぎざきまでこさへてあるのです。
綿入れの袖を小枝へ引ッかけ、ひどい鉤裂かぎざきをしてしまった。
円太郎馬車 (新字新仮名) / 正岡容(著)
平次がうなったのも無理はありません。着物はまだ真新しいのですが、ひどくほこりと泥とに汚れて、所々には蜘蛛くもの巣が引っ掛っている上、幾つかの鉤裂かぎざきまでこしらえてあるのです。