鉤縄かぎなわ)” の例文
旧字:鉤繩
絶壁へかかると茂助は鉤縄かぎなわを投げて、岩松の根にかけ、自分が先へよじ登っては、一同を引っぱり上げた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と空をきって飛来した手練の鉤縄かぎなわせいあるもののようにきそい立って、あわや左膳の頸へ! 触れたもほんの一瞬、銀流ぎんりゅうななめに跳ねあがって小蛇とまつわる縄を中断したかと思うと
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
覆面をしていたにしても、頭がひどく大きいのと、内輪に歩いていたことに気が付かなかったのは大笑いさ——何? 俺が井戸へ落ちなかったわけか。——鉤縄かぎなわを用意して行っただけのことさ。
ところが、この捕手が、意外なる手利てききでありました。十手はケシ飛ばされ、おのれは打挫うちひしがれたけれども、その瞬間に、鉤縄かぎなわを米友の着物の裾からチンバの右の足首にひっかけてしまいました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
最後の鉤縄かぎなわを相手の裾に打込んで首尾よくからめ取ったほどの腕利きが、ここでこんなに無雑作にカスを食わされるとは、気が利かな過ぎるというものであるが——それにはそれでまた理由もあって
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)