鉄鎖てつさ)” の例文
旧字:鐵鎖
前岸かわむこうの巨木からさがった鉄鎖てつさのような藤葛ふじかずらが流れの上に垂れて、そのはしが水のいきおいで下流になびき、またね返って下流に靡いているのが見えた。
仙術修業 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と、彼は、牢役人や、同心や小者など、大勢の人々がさせる鉄鎖てつさの音と共に、外へ曳き出された。
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
窓のすぐ前には何年ごろにか純次やおせいと一本ずつ山から採ってきて植えた落葉松からまつが驚くほど育ち上がって立っていた。鉄鎖てつさのように黄葉したその葉が月の光でよく見えた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)