鈴鹿峠すずかとうげ)” の例文
丹三郎の不仕鱈ふしだらには限りが無かった。草津、水口みなくち土山つちやまを過ぎ、鈴鹿峠すずかとうげにさしかかった時には、もう歩けぬとわめき出した。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
机竜之助が鈴鹿峠すずかとうげの麓、伊勢の国せき宿しゅくで会い、それから近江の国大津へ来て、竜之助の隣の室で心中の相談をきめ
爾来じらいかかる事に思わぬ日を経て、ついに同地の有志者長井氏克ながいうじかつ氏らに送られつつ、鈴鹿峠すずかとうげに至り、それより徒歩あるいは汽車にて大阪にづるの途中、植木枝盛うえきえもり氏の出迎えあり
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
蒲原かんばらの酒屋に押込が入って、売溜をって逃げ、七月二十八日は小夜さよの中山で追剥おいはぎが旅人を脅かし、九月十七日には飛んで鈴鹿峠すずかとうげで大坂の町人夫妻が殺されて大金を取られ、十月七日は
竜之助がはじめて京都へ上る時に、同じこの国の鈴鹿峠すずかとうげの下で、悪い駕籠屋かごやからお豊が責められて、そのとき詮方せんかたなくお豊が駕籠屋に渡そうとした簪がこの簪と同じ物でありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
伊勢の国鈴鹿峠すずかとうげの坂の下からこっちへ二里半、有名な関の地蔵が六大無碍ろくだいむげ錫杖しゃくじょう振翳ふりかざし給うところを西へ五町ほど、東海道の往還おうかんよりは少し引込んだところの、参宮の抜け道へは近い粗末な茶店に
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)