金貝かながい)” の例文
勘平の刀は舞台で用いる金貝かながい張りと思いのほか、さやには本身ほんみの刀がはいっていたので、角太郎の切腹は芝居ではなかった。
半七捕物帳:03 勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「へえ、いたします。弓と申しても楊弓ようきゅうですが、五月、九月の結改けっかいの会には、わざわざ江戸へ出かけて行き、昨年などは、百五十本を金貝かながいの目録を取ったということでございます」
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ころげおちた将の放れ駒には“三本からかさ”の金貝かながいったくらがおかれてあり、この鞍といい、また花曇子はなどんすのよろい直垂衣ひたたれや、おびていた鬼丸の太刀も、名越尾張守高家のものにちがいなかった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしが若旦那に渡したのは確かに舞台で使う金貝かながい張りに相違ないのですが、それがいつの間にか本身に変っていたので、こんな騒ぎが出来しゅったいしてしまったのです。
勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)