金座きんざ)” の例文
「へえ、そうなんで。……あッしどもは、くわしいことは知りませんが、なにか、金座きんざにどえらい間違いがあったんだそうで……」
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
金座きんざの勘定役といふと、今の日本銀行の重役で、その住居、調度、奉公人の數など、目を驚かすばかりの豪勢さです。
五百の兄広瀬栄次郎がすでに町人をめて金座きんざの役人となり、そののち久しくかね吹替ふきかえがないのを見て、また業をあらためようとした時も、抽斎はこのこうを引いてさとした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
んな廻り合せで懇意になったものか、金座きんざ後藤三右衛門ごとうさんえもんに仕われて、草履ぞうりを直したり、庭の草までむしって居る、潮吹ひょっとこの権次という三下野郎と、不思議に馬が合うのでした。
黄金を浴びる女 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
いで弘化三年十一月二十二日に至って、忠兵衛は隠居して、日野屋の家督をわずかに二歳になった抽斎の三女とうに相続させ、自分は金座きんざの役人の株を買って、広瀬栄次郎と名告なのった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
金座きんざ
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)