野鍛冶のかじ)” の例文
次郎を連れて、野鍛冶のかじの家を出かけた時から、ひそかに、それと信じているところを、釘勘がずばりと言い当てたので、万太郎も驚きながら
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
百姓では食って行けない越後平野の百姓が、その鉄を鍛えあげている。野鍛冶のかじから発達した田舎の藁家わらやの庭でつくられる。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
この鞘は主に利根とね白沢しろさわ高平たかひらの産だといいます。ごく小型のものなどに特に愛すべき品があります。沼田では金物にも火箸ひばし灰均はいならしなどの野鍛冶のかじの技で野趣あるものを見かけます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「あいつあ、野鍛冶のかじの半五郎にだまされて、あっしが寄合に戻って来る日の昼間、その鍛冶小屋に連れ込まれました」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近寄って、年増の女を見ると、彼女の想像にたがわず、それは野鍛冶のかじの半五郎の妻——かの高麗村こまむらの次郎の母親です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
春日井かすがいの部落で、早起きな野鍛冶のかじの家が開いていたのを見つけ、そこで鍛冶場の掃除を手伝い、そこの飼牛かいうし二匹を曳いて、草を飼わせ、また、裏へまわって、水瓶みずがめいっぱい、水汲みをしてやったので
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)