野村のむら)” の例文
雨に濡れた俊助しゅんすけが『はち』の二階へ来て見ると、野村のむらはもう珈琲茶碗コオヒイじゃわんを前に置いて、窓の外の往来へ退屈そうな視線を落していた。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
野村のむらくんのうちはすこしとおかったけれど、かきねに二ほんのくわのがあって、それをいくらってもいいというのでした。
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこで大阪の店の支店長次席の野村のむらという人が、じぶんで持っていくことにしたのですが、いろいろな事情で、飛行機の時間にまにあわなくなり、といって、一日のばすわけにはいきませんので
黄金豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
俊助しゅんすけは紅茶茶碗を野村のむらの前へ置くと、自分も卓子テエブルの前の椅子へ座を占めて、不思議そうに相手の顔へ眼を注いだ。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かいこをかってから、しょうちゃんは、毎朝まいあさかあさんにおこされなくてもひとりでおきて、じてんしゃにのって、野村のむらくんのところまでくわのをもらいにいきました。
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おじょうさん、あんた野村のむらみちさんでしょう」
怪人と少年探偵 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
俊助がこう答えるも待たないで、からりとそこの唐紙が開くと、桜草の鉢を置いた寄せ木の卓子テエブルの向うには、もう肥った野村のむらの姿が、肩をゆすってのそのそはいって来た。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
くわのは、しょうちゃんが、もうちゃんと野村のむらくんからもらうやくそくがしてありました。
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「御隣の野村のむらさん、——野村さんでしょう、あの奥さんは?」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
久米くめさんに野村のむらさん。」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)