重量おもし)” の例文
深沈たる高山の常、大風がけって、瓦落瓦落がらがらいう、かばの皮屋根の重量おもしの石が吹き上げられて、一万尺も飛ぶかとおもうのに、小舎の中は空気までが寝入っている。
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
「ただ捨てて来るから、又すぐ戻って来るのだ。今度は二度と帰られないように重量おもしをつけて海へ沈めてしまえ。こんな化け猫を生かして置くと、どんな禍いをするか知れない」
半七捕物帳:12 猫騒動 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
車夫の提灯ちょうちんが露地口を、薄黄色にのぞくに引かれて、葛木はつかつかと出て、飜然ひらりと乗ると、かじを上げる、背に重量おもしが掛って、前へ突伏つッぷすがごとく、胸に抱いた人形の顔をじった。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)