酷烈こくれつ)” の例文
三日か四日の間を置いて、町のはずれに無惨むざんにも人が斬られていました。その斬り方は鮮やかというよりも酷烈こくれつなるものであります。
「生きて働く」という言葉が、如何いかにも肉体的に酷烈こくれつで、炎熱の下にあえぐようなひびきを持っている。こうした俳句は写生でなく、心象の想念を主調にして表象したものと見る方がい。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
わば、「死ぬほど淋しいところ」の酷烈こくれつな孤独感をやっと捕えた。おいしいものではなかった。やりきれないものであった。けれども、これが欲しくて佐渡までやって来たのではないか。
佐渡 (新字新仮名) / 太宰治(著)
彼が改革の峻急しゅんきゅう酷烈こくれつなりしも、またべならずや。彼は封建社会の解体の、滔々とうとうとしてむべからざるを見たり、彼は社会の中心点の欹傾いけいするを見たり、彼は徳川幕府の命数のあやうきを見たり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)