酒盃しゅはい)” の例文
すなわち酒盃しゅはいしずくを切ってしまわずに、思う人の手に渡すことで、最初は多分同じ器から分ち飲むことであったろうと思う。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あらゆるすべての詩人は、彼の歓楽の酒盃しゅはいの中に、もしくは理想的社会の実現される夢の中に、生活のクライマックスをして死のうとしている。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
陸戦の士官の持つような頑丈がんじょうな軍刀に片手を支え、酒盃しゅはいに伸びた手の指が何か不自然なほど長かった。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
筆硯ひっけんを借りてその包紙の余白に、貧病の薬いただく雪あかり、と書きつけて興を添え、酒盃しゅはいの献酬もさかんになり、小判は一まわりして主人の膝許ひざもとにかえった頃に、年長者の山崎はすわり直し
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
知は酒盃しゅはいをほめたたえてやまず
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)