郭汜かくし)” の例文
果ては、胸にすがって、泣かれたりしたので、郭汜かくしも、振りもぎっても行かれず、遂に、その夜の招宴には、欠席してしまった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山峡やまかい隘地あいちを出て、軍を返そうとすれば、たちまち、李傕や郭汜かくしの兵が、沢や峰や渓谷の陰から、所きらわず出て来て戦を挑むからだった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうだな。この頃は、郭汜かくしの令夫人とも、時々お目にかかるかね。……おまえたち奥さん連ばかりで、よく色々な会があるとのことだが」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど一方、大きな違算に行き当って、進退に迷っていたのは、今は明らかに賊軍と呼ばれている李傕りかく郭汜かくしの陣営だった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
栗色の駿馬しゅんめに乗り、大斧をふりかぶって、郭汜かくしの人数を蹴ちらして来た。それに当る者は、ほとんど血煙と化して、満足な形骸むくろも止めなかった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
李傕りかく郭汜かくしの二軍が、その後、大軍を整え、捲土重来けんどちょうらいして、洛陽へ攻め上って来るとの急報が伝えられて来たのである。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朕が位にいてから一日の平和もなく、逆臣のあとに逆臣が出て、董卓とうたくの大乱、李傕りかく郭汜かくしの変と打ちつづき、ようやく都をさだめたと思えば、またも曹操が専横せんおうに遭い、事ごとに
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分の父の黄琬こうえんは、むかし李傕りかく郭汜かくしが乱をなした時、禁門を守護して果てた忠臣です。その忠臣の子がいまは、心にもなく、僭上せんじょう奸賊かんぞくの権門に屈して、その禄をんでいるとは実になさけない。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)