郭内くるわない)” の例文
寒川さむかわ五反保ごたんぼを濠として、その郭内くるわないに、侍屋敷の門をならべ、丘の猪鼻台いのはなだいに、一族の館を持っている千葉介常胤ちばのすけつねたねなども、当然、そうであった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして不意ふいにとりでの郭内くるわないにあらわれ、岩くだきの強薬ごうやく爆発ばくはつさせて、とりでにるすいをしているやつらがあわてさわぐまに、小太郎山こたろうざんを乗っとってしまう! むろん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
迷子札まいごふだのような門鑑もんかん番士ばんしにしめして、その夜、しもにあったキリギリスみたいに、ビッコをひいた蛾次郎がじろうが、よろよろと躑躅つつじさき郭内くるわないにあるお長屋ながやへ帰ってきたのは、もうだいぶな夜更よふけであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)