遙拝ようはい)” の例文
旧字:遙拜
食事の支度、清掃、買い物、走り使い、皇居遙拝ようはい、先生の身辺の世話、その他の雑事、等、等であった。そんなことはさして苦にならなかった。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
またつとめて勇気を振い起し大願成就なさしめたまえと明神のほこら遙拝ようはいして、末覚束おぼつかなき旅に上りぬ。
良夜 (新字新仮名) / 饗庭篁村(著)
遙拝ようはいのしるしばかりに国学四大人の霊号を書きつけたものが、やがてその床の間に飾られた。荷田宿禰羽倉大人かだのすくねはくらのうし賀茂県主岡部大人かものあがたぬしおかべのうし秋津彦瑞桜根大人あきつひこみずさくらねのうし神霊能真柱大人たまのみはしらのうし
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
如何いかなる境界におつるとも加茂かもの明神も御憐愍ごれんみんあれ、其人そのひと命あらばめぐあわせ玉いて、芸子げいこも女なりやさしき心入れうれしかりきと、方様の一言ひとことを草葉のかげきかせ玉えと、遙拝ようはいして閉じたる眼をひらけば
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)