連弾つれびき)” の例文
旧字:連彈
昨今この種の批評家といわれている人々の辿っている内的斜面の姿を二人連弾つれびきで語っているところに、読者の注意をひくものがあった。
文芸時評 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
今までは折々門外の小路こうじに聞えた夜遊よあそびの人の鼻唄はなうた、遠くの町を流して行く新内しんない連弾つれびき枝豆白玉えだまめしらたまの呼声なぞ
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もとより、溝板どぶいたふたがあるから、ものの形は見えぬけれども、やさし連弾つれびきはまさしくその中。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
常盤津の連弾つれびきの撥いちやうに白く光りて夜のふけにけり
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
どぶなる連弾つれびきを見届けようと、やにわにその蓋を払っため組は、蛙の形も認めない先に、お蔦がすっと身を退いて、腰障子の蔭へ立隠れをしたので、ああ、落人でもないに気の毒だ、と思って
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
余はゆか囃子はやし連弾つれびき掛合かけあいの如き合方あいかたを最も好むものなり。『鬼一法眼きいちほうげん菊畑きくばたけの場にて奴虎蔵やっことらぞう奥庭おくにわに忍び入らんとして身がまへしつつ進み行くあたりのゆかの三絃を聴かば誰かチョボを無用なりとせん。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もうるむ連弾つれびきのかなしきしらべ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)