透視とうし)” の例文
いつか机博士が、六天山塞ろくてんさんさい頭目とうもく四馬剣尺しばけんじゃくの姿を、レントゲンで透視とうししたことがあったが、それは脚にながい竹馬をゆわえつけた小男であった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
吾儕われらは奇蹟を驚異し、透視とうしの人を尊敬し、而して自身は平坦な道をあるいて、道の導く所に行きたいものである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
坂上にある彼の床几場しょうぎばは、燃えさかる町屋の煙のため、すぐ下の戦況すら透視とうしできなかった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてれいのとおり、ちょっと精神せいしん統一とういつをしてわたくしはか透視とうしされましたが
千代田袋の中を透視とうしでもしやうとする風にして、小池は言つた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
義眼は樹脂プラスティックだ。それならば、その義眼を、ここにあるエックス線装置でもって透視とうしすれば、いともかんたんに問題は解決する。なぜといって、X線は、樹脂をらくに透すが、黄金は透さない。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私達のように永年ながねん都会にんで、極度に神経を敏感以上、病的にけずられている者は、別に特殊な修練しゅうれんないでも、いつの間にか、ちょっとした透視とうしぐらいは出来るようになっているのだった。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)