返辞いらえ)” の例文
旧字:返辭
そこもとが思わず返辞いらえたので、敵は館のこの中に、吾らのいることを知り申した。そのため敵は用心して、近寄って来るに相違ない
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
返辞いらえはせずに後に従い、しょんぼりと歩く織江の姿が、その裾の辺に帯の辺に、縺れて燃えている鬼火にかすかに——幽霊かのように幽かに見えた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白縮緬しろちりめんで覆面をした十人の武士はこう訊かれても、しばらくは返辞いらえさえしなかった。無言で紋十郎を見詰めている。それがきわめて不遜の態度で嘲笑ってでもいるようである。
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「は」と返辞いらえて市之丞は、御嶽冠者にまず一礼し、それからつと立ち上がったが、疲労つかれた体には歩くことさえ出来ず、蹣跚まんさんとして倒れようとするのを素早く走って支えた姫
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
応と返辞いらえる声あって、五人の屈竟くっきょうの若者が、千寿と朱丸との側へ走った。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
返辞いらえる声がしたが、たちまち一個の壮漢が、さっと舞台へ躍り出た。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
扉をあけろと命じても、番人は返辞いらえさえしようとしない。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
源太夫は返辞いらえをしなかった。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)